トップ

2018.6.1

屋外サイネージ設置の課題

デジタルサイネージを建物の外の軒下に設置する場合でも、雨に降り込まれる場合があるので、防水規格IP54の機器を選ぶべきことを、「軒下のサイネージでも防水を!」に書いたが、実際はほとんど雨がかからない商店街のアーケード内や、非常に深い軒の下のようなところもある。また商品を屋外に並べているので、天候を見張っていて、雨が降りそうになったら店内にいろいろなものを引き上げるようなお店もあり、サイネージもキャスタ付のスタンドに設置して、店の内外に移動させやすくしている。

明るさの問題が無ければ屋内用でもいいと判断することもあるだろう。この場合は人が管理しているので、屋外に出しっぱなしとは違う。言い方を替えると無管理で出しっぱなしにするデジタルサイネージは、屋外用の筐体を使わなければならない。さらにいたずらされやすいものでは、頑丈な筐体が必要でサイネージの液晶パネルよりもコストがかかってしまう。でもそれは看板全般に言えることでもある。

また屋外とはいっても私道の場合は管理者の許諾が必要だろうし、公道ならば警察の許可が必要なものは、サイネージに限らず、看板・のぼり、イーゼルなど見慣れたものが多くある。デジタルサイネージの場合はコンテンツを作る側が、設置される場所をよく意識していないこともありがちなので、その辺のルールを確認しておきたい。
まずそもそも屋外広告ができない、広告禁止区域や広告禁止物件がある。それは原則的には公共のもので、例えば

・道路や鉄道などの橋、トンネル、高架構造物、道路の分離帯、道路の石垣、壁
・街路樹、路傍樹、保存樹
・信号機、道路標識、道路の防護柵、カーブミラー、それらの柱、電話柱及び街灯柱
・消火栓、火災報知機、望楼、警鐘台、郵便ポスト、電話ボックス、路上変電塔

などであり、それらと勝手にサイネージの転倒防止のためにひもで結ぶとかも具合悪いだろう。

しかし具体的には、その持ち主である企業や自治体や鉄道会社などによって、利用の許可が認められて、年間幾らかの使用料を払って使わせてもらっている例は多くある。道路に置く場合も自治体のサイトを見ると、『道路占用許可について』というような説明があって、これは建築用足場・仮囲い・突出看板等がやむを得ず道路にはみ出る場合には、道路占用許可および道路使用許可をとることが必要なのと、その種類に応じて占用料が必要なことが書かれている。

 

東京都の場合は、屋外広告物に関するまとめた説明が以下のサイトにある。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/koukoku/index.html

道路法に基づく道路占用の許可は、その道路が国道か都道か区市町村道かによって申請窓口が異るわけで、また道路交通法に基づく道路使用許可を所轄の警察署に申請することが必要となる。さらにその場所が地区計画等の都市計画区域内にあたる場合は、別途区の都市計画担当課に届け出が必要になる。最近は必要書類はホームページからダウンロードできるものの、書類作成にはある程度手間がかかり、こういったことが広告専業者のノウハウになっているのだろうなということが想像できる。

ちなみに東京都に関しては、屋外広告物の種類として「デジタルサイネージ」はまだ無いようで、単に「広告板」とか「立て看板等」扱いとすると、例えば以下のようになっている。
・広告板 申請手数料3220円 許可期間2年以内
・立て看板 申請金額450円 許可期間1月
つまりこの許可期間ごとに申請をしなければならないようだ。
こういった手続きを何も知らないで歩道に広告看板を出していると、ある時にチェックにひっかかるとか、誰かにチクられて、撤去しなければならなくなることがある。

 

またサイネージのディスプレイを裸で屋外に置いた場合に事故に遭ったという話はよく耳にする。盗難は警察沙汰になるが、倒されるとか、棒とか傘で叩かれたり突かれたり、石などを投げつけられた場合は、誰がいつどう壊したのか状況がなかなか把握しにくく、犯罪扱いにはし難いだろう。その場合はリースやレンタルでサイネージを安く使っていると、使用している契約者が弁償しなければならなくなる。

こういうリスクが殆ど感じられない場所もあるだろうが、結論としては、店員・社員が見回ってる営業時間内なら、まだ管理は行き届くので、始業終業の時間帯だけデジタルサーネージを建屋の外に出すのが無難だろう。