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2019.1.11

テクノロジー vs 伝統

昨年暮れのクリスマスのイルミネーションを見ていると、どんどん派手になるのではなく、どちらかというとクラッシクな雰囲気に戻りつつあるのではないかと思えることがあった。地元吉祥寺駅前のイルミネーションは過去にいろんなLEDがどんどん増える方向にあったのが、近年は昔ながらのツリー状のものが定着しつつある。これはヨーロッパの街並みにも通じるような雰囲気がある。

一方で商店街のサンロードの方は天井にLEDが飾られてきたが、これもド派手なものではなく、線香花火に近い。いずれにせよサイン・ディスプレイが出しゃばり過ぎないような配慮がされているように思える。

 

一方ドバイやバクーやシンセンなど新興都市ではLEDでビル全体を囲んだような、プロジェクションマッピングにも似たディスプレイが増えていることを以前に書いた。こういった街々はそもそも低層ビルの屋上にネオンサインの広告がない。なにしろ何もなかったような土地に突如高層ビル群が現れた街なのだから当然である。かたや日本は低層ビルにネオンサインというのが元の姿なので、それを取り去ってまでビル全体をLED化するのは難しいだろう。

 

すでに日本でもLEDストリップによるビル壁面の大型ビジョンがあちこちにみられるようになってきた。しかしそこで表示されるものはきっと世界の新興都市にあるようなものとは異なったものとなるだろうと思う。

上の映像は新宿にあるものだが、スマホのカメラで撮ったらモワレが大胆にでてしまった。コンテンツはまだある意味ありきたりで、特段インパクトがないというか、むしろ1インチ間隔のLEDストリップの粗さがかえって目立ってしまうような絵柄を選んでいるのが気にかかる。つまりこのようなデバイスの場合はきれいな写真を再現しようということではなく、素朴なクリエイティブをした方が見栄えが良くなるのではないかと思った。

 

またこういった新技術の設置をした最初の段階は、技術デモンストレーションの印象が強く残っているので、新規なコンテンツを作りたくなるのだろうが、次第に景観との調和とか、商品・サービスとの調和の方が重要視されるようになって、クリスマスツリーが落ち着きを取り戻したように、無理のないコンテンツに収束するのだろう。