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2019.3.29

インテリアとしてのデジタルサイネージ

デジタルサイネージを設置してもコンテンツの更新ができないとか、番組表がなかなか埋まらないなど、日常運用の悩みを持たれる方は多いだろう。複合商業施設のような多くのテナントが共用でサイネージコンテンツを提供している場合は、全体がスライドショウになっていればそれなりの変化は出ているが、1軒で運用している場合は単なるスライドショウでは飽きられる恐れがある。しかし絵画や紙のポスターでも見飽きないような絵ならば長期間の掲示に耐えられるのだから、よい作品を選ぶことに気を配れば何とでもなると思える。

 

もしある店の主人が写真の趣味をもっていれば、自分の作品から毎月なり毎週なり選んで差し替えていき、また親しい人とは表示されている写真をネタに会話をすることもできる。旅行やスポーツが趣味である場合も同様で、そのうち知人の撮った写真も表示するルールを作って、店の壁面をギャラリーのようにすることもできるかもしれない。自分で能動的に写真を撮ったり、旅行・スポーツ・その他の趣味にのめりこんでいない場合でも、興味のある分野のフリー素材をネットで探して、定期的に差し替えるようなことをしていけばよい。

例えばユネスコ世界遺産の画像を無料で使いたいなら Pixabay というサイトがある。Pixabayは著作権のない画像や動画を共有するところで、すべてのコンテンツはクリエイティブコモンズCC0の下で公開されていて、店内装飾のような商業目的であっても、許可が不要で安全に使用できる。しかし、画像に映っているものの中に商標やパブリシティ権、プライバシー権などに抵触するものが含まれている可能性はあるので、自分で注意して使う。難点は画像検索は日本語よりも英語でした方が便利なところくらいだろうか。

もっと手間をかけずに安直にしたければ有料だがデジタルサイネージに世界遺産を配信するサービスもある。これは自販機にサイネージをつけてドリンクの売り上げで運用するサービスをしているアイティ・ニュース株式会社のもので、他にもNHK動画ニュース配信サービス、緊急地震速報配信などなども配信している。この世界遺産映像は写真ではなく標準で1分間のmp4のようだ。
似たようなサービスはいろいろあるもので、名画付大型デジタルフォトフレームというのも売っていて、額縁つきの政界の名画スライドショーなのだが、これは逆にサイネージとして運用するのは無理かもしれない。

以上はいわゆる環境映像的なものだが、こういう要素は他のサイネージでもあったらよいように思う。例えば窓口での番号案内というのは役所や金融機関や病院には必ずあり、LEDの番号表示の頃と同じ使われ方が液晶パネルになっても行われている。

この場合は番号を知らせる以外の余計なことはするな、というポリシーがあるのかもしれない。私の通う病院では番号表示とともにやたらに諸注意事項が出てきて全然楽しくないのだが、こういう場合でも提案の余地はあると思う。それは画面内での表示提案ではなく、室内のインテリアとしての提案として行ってはどうかということだ。(→次回に続く)