サイネージとマーケティングの連動

これは難しいテーマで、そうしたいが、ほとんどの場合できていないのが現状であろう。デジタルサイネージを売る側も提案される側も雰囲気的によさそうだ、という域を出ないで話し合っている場合がある。デジタルサイネージに何を期待してよいのか、わからないところに提案しても、なかなか話がかみ合わない。

デジタルサイネージを始めてみませんか、とおすすめして、すぐ反応のあるところは、マーケティングについて何かしら考えておられる場合が多い。つまりマーケティングのあれやこれやの中で、サイネージの出番を予感している方だともいえる。

 

サイネージの導入に関してどこから話を始めたらよいのか。サイネージでこんなことができると提案しても、導入する側に新たなことをする準備が整っていないことが多いことを以前に書いた。導入する側に使う条件が整っているといえるのは、サイネージとかデジタル写真・ビデオに関するスキルの問題ではなく、今ぜひこういうことをしたい、という切迫した課題がある場合だろう。ここ10数年で発達したPOSや需要予測のシステムは、IT側が小売り側の課題にうまく対応できた例だ。

前回の『サイネージに何が起ころうとしているか?』のマネージ型というのは、目標設定を先に具体的に行って、それに到達するためにいろいろな工夫と管理をすること、その管理から得られたデータでやり方を最適化していくようなビジネスの仕方を指している。

 

例えば、今週中にある商品の在庫をゼロにしたい、新規顧客を1割増やしたい、午前の客足を1割増やしたい、とかというのが具体的な目標設定になる。そのために従来の販促に加えてサイネージも使わざるを得ない提案ができれば導入に結びつきやすい。こういう具体的利用局面をいくつか話し合って、それらを総合して月間なり年間でのサイネージの貢献度を試算すると、予算枠を用意してもらえ易くなると思うが、どうだろうか。

サイネージでの表現に於いても、最初はその店の強いところから、目玉となる釣り商品を作って徹底的にアピールする方が、今まで売ったこともないものをアピールするよりも成功率が高いだろう。つまり高評価されている自信商品を、絶対お得と思われる価格で出して人を振り向かせるような、ただでさえ集客効果が期待できるものをサイネージでさらに拡大させれば、サイネージの効用はわかりやすい。そもそも集客できない商品をサイネージに乗せても、売れた・売れないの分析はできない。

マーケティングをしているところは常勝の鉄板ネタがわかっていて、販促のシナリオが作れる。そのシナリオがあるならば『○○個限定』『完売御礼』などデジタルサイネージに何を仕込んでおけばよいのかも見いだせる。そういったシナリオを毎週、毎月ごとに作って、例えば何曜日の何時ごろにはタイムセールとかをやっている。

また毎月いつごろはイベントの日としているところもある。抽選会とか、ワゴンセールとか、何か普段と違うことをやってるなという印象を持ってもらえれば、サイネージやメディアでの予告広告によって期待を喚起することができるだろう。このイベントそのものにそれほど予算や手間はかけられないだろうから、それらの相談も含めてPOPからモバイル販促、サイネージまでも面倒見てくれるような外部のサポートが求められているように思える。

 

この1年を振り返って

最初の1年は、デジタルサイネージに特化したコンテンツ制作集団ここにアリ! という意気込みで、ホームページも作ったし、サンプルをあちらこちらに見てもらって、マーケットを探っていった。その思いと、実際の受注というのは少なからずの乖離があったといえる。

デジタルサイネージは10年ほど前から街に姿をあらわしつつあった。駅や大型商業施設だけでなく、PCを内蔵した40インチディスプレイのスタンドなどがお店の前に立つ様になっていった。広告代理店が絡んだサイネージはコンテンツネタが豊富で、テレビCFの流用やクリエイティブな写真が豊富に使われて、街を彩るものとなった。

しかしお店のスタンド型サイネージなどは「電子看板」と呼ばれたように、ポスターの代わりでしかなかった。せっかくデジタルなのにコンテンツを入れ替えるのは容易にはできなかったので、サイネージネットワークはクラウドから配信をする柔軟な方法を採り入れた。

だが実際に営業活動をしてみると、多くのクライアントはクラウド云々以前の、初歩的な課題で足踏みしているところが多かった。考えていたよりも気長な営業が必要に思えた。でもこれから大きく伸びると思わせられる点もあるので、紹介したい。

1.動画の利用は増えている

サイネージは未だにパワーポイント/スライドショウが多いのに、WebやSNSではショートムービーが増えていて、メンバー各社でも動画だけ制作という機会が増えている。また動画を安く制作します、という会社も多くなっている。その先には、デジタルサイネージの特性を理解したもっと特化した制作会社の役割が出てくると思われる。

2.デジタルサイネージをやめたところもある

10年前からの第1期ブームのUSB型のサイネージ活用は行き詰まっている。折角導入しても活用がどんどん広がっていかないからだ。第1期ブームは電飾看板や電光掲示板型看板の延長であったのかもしれない。そこでは実際の売り場のキャンペーンや販促活動とはかけ離れた、年中同じコンテンツが空転しているようになって、ハードウェアの不調と共にデジタルサイネージをやめてしまうことも起こっている。

3.販促とサイネージの連携には時間がかかる

サイネージを看板やポスターの置き換えではなく、販促と連動した仕掛けとして活用するには、仮説をつくり、試行して、予算化して、教育して立ち上げる、という本腰を入れたプロジェクトが必要になり、2-3年計画で臨まなければならない。これを全部営業マンが仕切るのはしんどい。しかしそのようなプロジェクトが実現できれば、今までのどんな媒体にもないような効果も期待出来るだろう。

4.過去のモデルはあてはまらない

いまさらパワーポイント/スライドショウでもないのだが、導入段階では通らなければならない道なのだろう。しかし効果はあるのかと言われたら、別の工夫を提案しなければならない。サイネージにかかる経費を、どこから捻出するべきか、それに定番はないのかもしれない。一部をバイト・パートの教育費としてみる場合もあれば、費用は別クライアントの広告掲載でまかなう場合もあれば、テナントの家賃・管理費から出す場合もあるだろう。

サイネージネットワーク株式会社の第2期は、柔軟な発想で、クライアントにふさわしいアプローチ・提案をしてまいります。

 

 

インスタグラムで超簡単サイネージ

配信型のサイネージを無料でやってしまう方法として、インスタグラムにアップした画像や映像をディスプレイに出すものが現れました。

協同コムが販売する BLUECANVAS という26.49インチ正方形のディスプレイはWiFiで接続するものなので、手元のスマホやタブレットからWiFiでインスタグラムの画像を転送することができます。
配信の設定はスマホ側のアプリ BLUECANVAS editor を使って、起動・終了時間などの管理をします。

http://www.kyodocom.jp/wp-content/uploads/2017/06/BlueCanvas.pdf

ちなみにインスタグラムの推奨画素数は1080×1080ですが、このディスプレイは1920×1920の画素があります。通常スマホ画像・映像は長方形ですが、インスタグラムでは「正方形さん」というエディターを使ってあらかじめトリミングをしておきます。

実物は有楽町の無印良品の食品売り場にあります。

https://www.muji.com/jp/flagship/yurakucho/

軽いディスプレイなので、壁掛けも吊も簡単な工事でできます。もちろんサイネージネットワークでも扱えます。