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「2018年7月」の一覧を表示しています。

2018.7.27

サイネージネットワーク もうすぐ2年目を終えます

この1年間つまり2年目に経験してきたことを振り返って見た。

a. 大型案件の見積もりに参加できるが落札は難しい。
b. 店舗は意外に決断が遅い。
c. 学校は年度単位で進行が遅いが、着実に進展している。
d. 自治体は関係構築が先。関連した仕事とセットになる。

大型案件については、提案はうまくいっても、その後の状況変化があり、再提案するにも情報が少なくツメの難しさがあった。
ある意味ではデジタルサイネージの方法論は多様化しているともいえ、何とどう比較されているのかわかりにくくなりつつある。しかし入札の慣例としてハードもソフトもコンテンツも全部セットでというのはキツい。我々のようなコンテンツ制作の立場ではハード・システムは仕入れて提供するので、メーカー直の納入にはかなわない。もっとハード・システムのベンダーと密接な関係を作らなければならないのだろう。

店舗でもデジタルサイネージの認知度は高くなっているが、いろいろな意味で即サイネージをビジネスに使うには、何かと準備不足である場合が多い。素材となる写真やデザインや動画があまり用意されていない。担当者が不在か忙しすぎて手が回らないので、提案に賛同してもらっても動きにくい。マーケティングの経験も少なく、他メディアとの連携もなく、サイネージ対して希望だけがあるのみという状態では、なかなか一歩が踏み出しにくい。まさに電子看板の域を出ていない。ビジネスの原点に立ち返って何をしたいのかを煮詰めてもらうと、こちらからの提案もやり易いのだが。あるいは魅力的なパッケージがあれば取り組みやすいかもしれない。

学校のようなコミュニケーション需要の高いところは、掲示物も印刷配布もWebもと何かと忙しくなるし、メディアが増えれば煩雑になる。しかしこれで十分という情報伝達手段は無く、むしろ何をしても見てもらえていないというフラストレーションをかかえておられる。デジタルサイネージの利用も考えてもらえるのだが、またメディアが増えてしまったということにならないように、むしろ他メディアと連携を強めて、トータルとしてコミュニケーションが向上したといってもらえるような提案をしなければならないだろう。

地方自治体もコミュニケーション需要が高く、また地元のビジネスと結びついたいろいろな展開をしている。少ない人数で多様なイベントやサービスをするために、地元業者の手を多く借りていて、ボランティアされている方も多くいる。そんな中に何かを売り込みに行っても相手にされない。逆に地域活性化のお手伝いという姿勢で、経費的な負担もかけないような提案をすると道が開けるようだ。こういう状態ではサイネージ部分の売り上げは微々たるものかもしれないが、関係構築ができると関連した仕事につながってくる。

 

あと、広告モデルのデジタルサイネージが一つのトレンドである。元々サイネージといえば大型商業施設・駅・車中などの新築やリフォームの際に、設備の一環としてサイネージを導入してイメージアップを図るものがみられたが、これらのコンテンツの多くはそれまでTVコマーシャルやポスターでおなじみの広告だった。広告主は一般視聴者を対象にしたものだったが、今は病院や学校などそれぞれの専門性に特化したコンテンツを用意して、それに広告も載せるような方向にある。この場合は広告媒体を置かせてもらっているので、設置は無料あるいは設置代を払ってサイネージ一式を病院や学校に持ち込んでいる。こういう広告代理店は設置場所のための新たなコンテンツなどは提供していないようなので、純粋にコンテンツ制作だけのビジネスがあるかもしれない。これは次年度の課題になるだろう。

この項、続く。

2018.7.20

オウンドメディアとして素顔を見せる

ちょっと考えればわかることだが、デジタルサイネージを置いただけで何らかの効果があるわけがない。まだチラシやDMなら、1000に一つでも反応がでるかもしれないのだが、デジタルサイネージはお店ならエクステリア・インテリアの一部にしか過ぎない。だから店舗設計なり販促キャンペーンなりの考えに基づいて、その中の一部の役割を果たすものとしてサイネージはあるといえる。例えば最新のサイネージが置かれていても、店がボロボロだとか、品ぞろえがイケてない、接客の態度が悪いなどなら、効果は出るとは考えられない。

これとは逆に、外の通行人からは分からない良さが店の中にあるのなら、それを表現する方法としてサイネージは使える可能性がある。いいかえると、どんな点で自慢したいことがあるのだろうか、というのを煮詰めてデジタルサイネージのコンテンツを考えればよい。よくこだわりのラーメン屋が客のいない時間帯に手間暇をかけて豚骨スープをつくっているようなテレビの紹介番組があるが、そういったコンテンツを自分でつくることは可能だろう。別にテレビの真似をするのがよいのではなく、今すぐできることから始めて、徐々に良いコンテンツに改善していくつもりなら、あまり費用をかけないでもサイネージのコンテンツはできる。

 

ビデオを撮るのが苦手ならば、イメージ写真の組み合わせでもよい。商品ならば、購入後の使い方とか、料理なら素材から調理の様子から盛り付けるまでの間の何カットかの写真があればスライドショーのようなものはできる。それにちょっと気の利いたコピーを工夫してかぶせければよい。その過程では家族や出入業者や制作会社に相談するなり意見を聞くなりする必要はある。そのような簡単な画像・映像の表現はYouTubeで検索すれば、たいていどんなジャンルでも見つけることはできる。要するに現在人々がYouTubeで見ているような手づくりコンテンツのようなもので、自分たちしか出来ないようなものを目指すのが良い。店主の想いが伝わるようにするには、まず店内の様子を伝え、店主の顔が良く見えるようにすることを心がけるべきだろう。

よく店の前の路面に看板スタンドがあって、店名・ロゴなどのほかに、写真やカラーコピーが貼り付けてあるが、デジタルサイネージはその延長でアピールする点を増やしていける。看板スタンドの面積は限りがあって小さな写真しか貼れないとしても、サイネージなら時間軸に並べていくので、多彩な表現ができる。大企業なら接客のイメージを向上させるために、きれいなモデルさんをつかって、お客さんに微笑んでいるような映像をとるだろうが、そのようなものが必要なわけではない。接客に自信があるなら実際の店員さんが素顔で働いている様子を映せば、それでも過去に店に入ったことがあるひとが、また店のことを思い出してもらうには十分だろう。他のメディアに比べて見てもらえる人が限られているデジタルサイネージではあるが、逆手にとってリピート客を増やす策に使えるのではないかと思う。

また、コンテンツを作り慣れたならば、タイムセール・特売などのアピールにはデジタルサイネージは向いている。この場合、実際の在庫の変動に合わせて、サイネージの方も値段の上下調整とか販売打切りができるようにしておく。

例えば『完売!ありがとうございました』というような画像もあらかじめ用意しておいて、臨場感を出すことができるだろう。こういう経験を経て販促キャンペーンを考える際にデジタルサイネージの出番が作られていくことになるはずだ。

 

 

2018.7.13

どのディスプレイがきれい?

サイネージネットワークでは43型デジタルサイネージとスタンド+STB+通信がすぐに使える状態になったセット『ミセール』を月額17,300円(税別)でレンタルしていて、期間は2年を想定している。しかし過去の経験から実際に2年で使えなくなる液晶ディスプレイは殆ど無いと思うので、廃棄するのでなければまた2年くらいは使い続けられるはずである。どこまで使えるのかは、個体差や使用条件によって変わるだろうが、劣化するとすると液晶のコントラスト低下とか、LEDの輝度低下が考えられる。だからディスプレイの第二の人生は、例えば従業員向けに通路とか休憩室とか、以前よりも薄暗いところで過ごしてもらうのがいいのではないか。最初のデジタルサイネージはお客様の前に出る役を担っていても、何年かするとサイネージの用途も広がって、社内の情報共有にも使われるようになっているかもしれない。

リースやレンタルで2年間経つと減価償却はされているのでタダでもよさそうだが、業者としては検査とか保守作業もあるので、中古価格1~2万円で放出することもある。だから社内のテスト用などにこういう安いディスプレイを使ったらどうかという話もある。しかし画質の劣化以上に古いディスプレイはインタフェースの規格が異なってしまっていて、今市販のものとは同等には扱えない場合もある。

 

以前に『あると便利な小物』で、ディスプレイのインタフェースである VGA、DVI、HDMI、DisplayPort の違いと変換について簡単に紹介した。これは一種の技術の進化を反映したもので、後で登場したものほど高機能化しているのだから、新しいパソコンやSTBに古いディスプレイがフィットするかどうかという問題がある。

デジタルサイネージは1920×1080のフルHDが基準のようなものなので、何年前でも同じように思うが、新しいものはアナログVGA接続ではないし、144Hzとか高いリフレッシュレートにも対応している。パソコンから送り出す1920×1080の映像信号が同じでも、アナログVGAはケーブルが長いとか質が悪いと画像が劣化する可能性がある。アナログVGAとは形状がD-subで15pinのVGA端子が使われ、おそらくどの古いディスプレイにも接続できるのだが、逆に新しいパソコンやSTBにはついていない場合もある。


デジタルインタフェースになったものがDVI-DとかDVI-Iで、これを基に作られたHDMIとか、将来を見越して開発されたDisplayPortとはデジタル信号の互換性があり、相互に変換するアダプターが売られていることを以前も書いた。

 

ではデジタルのインタフェースでどれがきれいか、ということを聞かれたことがあるが、デジタルならどれでもディスプレイに届く映像信号は同じなので、違いはないはずだ。しいて言えばリフレッシュレートが高い方が動きのある映像を滑らかに表現できるので、そこに差があるかもしれない。ちなみにゲーマー様達はフルHDで144Hzのものを使っておられるそうだが、静止画に近いデジタルサイネージでは何かいいことがあるかどうかはわからない。
要するに信号の伝送という点では画質の問題はない時代になっている。将来は4K8K対応を考えて規格も進化するのだろうが、現時点では1台のサイネージを使っている場合に、HDMIとDisplayPortのどっちがどう違うというほどの差もない。ただ以前書いたマルチディスプレイのしやすさとか、そういった機器との相性の問題はあるので、マルチの場合は実現方法とパネル選びがセットで行われている。

 

実はデジタル信号の伝送については、ディスプレイに限らず、LANとかUSBも含めていろんな規格があるのだが、この間にだいたい似たような原理・方法に収束しつつある。USB3.1が使えるUSBType-Cというのが最近使われ始めているが、これはHDMIやDisplayPortとして使うモード切替の機能があって、これまであったいろいろなデジタル信号伝送を包含してしまう可能性をもっている。それはLANもUSBもHDMIもDisplayPortも線の中を剥き出してみれば、同等の構造をしているからだ。

USBType-Cでは、それらの上を行くThunderboltという規格に対応しようとしているので、全部を賄えることになる。これは通信の配線と通信プロトコルを分離したようなもので、USBType-Cによって配線の共通化をしようという目論見だろう。もしこれが何年かのうちに普及すれば、ディスプレイのインタフェース問題もなくなってしまうかもしれない。

 

2018.7.6

動画のフォーマットは変換がたいへん

前回の『サイネージを身近なものとして使いこなす』では、Windowsフォトストーリーで作ったWMVビデオファイルが、mp4などに変換するのに苦労するということを書いた。一般に動画ファイルを授受する場合には、movだ、flvだ、mpgだ、ということで話しがわかったような気がするのだが、それが動画編集の鉄壁であるAdobePremiereでも開かないことがある。うちあわせをする相手が動画フォーマットのことを良くわからずに話している時は多いので、受け取った側で詳しい人がツールでフォーマットの解析をして、使える・使えないの判断をしなければならない。

それほど動画フォーマットが分かりにくいのは、ファイルが何重かの構造になっているからで、mp4だ、flvだ、mpgだ、wmvだというのは動画を運ぶための入れ物を指すに過ぎず、その中に音声と映像の情報が入っていて、これは下の表のように入れ物が異なっても同じ規格であるとか、逆に入れ物が同じでも異なる規格である場合がある。

この音声と映像の記録・再生のものをコーデックといい、ファイルを受け取った方に該当するコーデックが存在しないと再生ができない。Windowsフォトストーリーのwmvの場合は、音声の規格がWindowsMediaPlayerでしか再生できない独自なもののために、『開けない』とか『変換できない』ことになる。それでWindows系のソフトでこれを扱えるアプリを探して、独自の音声の部分を入れ替えれば変換できるようになる。

 
拡張子 よみ 音声 映像
MP4 .mp4/.m4a エムピーフォー AAC/MP3/Vorbis H.264/MPEG-4/Xvid
MOV .mov/.qt エムオーブイ AAC/MP3/LPCM H.264/MPEG-4/MJEG
MPEG .mpeg .mpg .vob エムペグ AAC/MP3/LPCM MPEG-2/MPEG-4/MPEG-1
AVI .avi エーブイアイ AAC/MP3/LPCM H.264/MPEG-4/Xvid
AFS .asf .wmv エーエスエフ MP3/AAC/FLAC H.264/MPEG-4/Xvid
WMV .wmv .asf ダブリューエムブイ WMA/MP3/AAC WMV9
WEBM .webm ウェブエム Vorbis/Opus VP8/VP9
FLV .flv エフエルブイ MP3/AAC/ADPCM H.263/H.264/VP6
MKV .mkv エムケーブイ MP3/Vorvis/LPCM H.264/MPEG-4/Xvid

ちなみに、Windows環境で短い動画加工の場合はaviファイルを使うことが多い。Macならmovが主流である。両者はフリーの加工ソフトも対応している。これらは低い圧縮率で使われる。逆に最終商品に使われるものは高圧縮率のmp4、wmv、flvなどになる。高圧縮のファイルから取り出した映像はどうしても品質が落ちるので、できれば編集途中のavi、movから加工することが望ましい。

 

他のフォーマットでは、MPEGはDVDに使われ、FLVはストリーミングに使われることが多かったが、今ではストリーミングもmp4が多くなった。

コーデックではデジタル放送にも使われているH264が主流になっていて、いろんなフォーマットでも使われている。名前も別名がいろいろあり、MPEG-4/AVCというのもコレである。

これから広まるかもしれないのが、Windows10から対応しているMKVで、従来のフォーマットに対するいくつかの改善がされている。またGoogleのChromeブラウザ向けのものがWEBMといい、パソコンやモバイル機器にインストールしてあるコーデックとはちがって、プラットフォームの如何を問わずに再生できるので、ネット対応としては伸びていくかもしれない。

 

現在ビデオ編集のプログラムでは読めないフォーマットでも、ネット上にはフォーマット変換のフリーソフトもいっぱいあるので、いろいろやってみることで解決することも多い。しかしある程度知識が無いとうまくいかないかもしれないし、だいたい数秒のクリップが必要なのに何十分のビデオを変換する手間もバカバカしい気がすることがある。そこで奥の手としては、一度画面に再生させておいて、HDMIの信号から必要部分だけをデジタルキャプチャーして使うという方法である。よくPSや任天堂のゲームをやっている様子をビデオ化しているのがあるが、アレである。これについては改めて別にとりあげたい。