2019.7.5
テーマ曲が必要になったら
デジタルサイネージでは、駅など音が出せない場合も多いが、自社の店頭などでは音がついていたほうが着目率は上がる。とはいってもうるさいだけのBGMになってしまうと逆効果だ。ネットでも不意に変な音楽が大音量で流れ出すと、内容を見るどころかコンテンツを消すアクションにいってしまう経験があるだろう。だからコンテンツのイメージあう、コンテンツを盛り上げるようなBGMをつけることが多い。またシーンの切り替わりのメリハリとか、着目点を際立たせるためにキーワードにはジングルを入れるなどをする。特にどうしたいという意向がないコンテンツでは無料の音の素材をネットでダウンロードして使うこともある。これらは今では多くのサービスがあり、むしろ選ぶのが大変なくらいだ。利用目的によっては料金がかかるとか、パブリックドメインと聞いたのに後からどこかに訴えられたという話も聞いたことがある。曖昧な使い方をしているうちに係争になったら驚くような金額を請求されてしまう場合もある。
企画に力を入れたコンテンツ作りでは、むしろ最初から音と映像はセットで考えないと、時間も費用もかかってしまうし、統一感のあるすぐれたものにはならない。とはいってもオリジナル曲を頼むのでは、どんなものが出来上がるのか心配であるし、費用もかなり掛かることが予想される。社歌などは何十周年の記念行事に合わせて作ることがあるが、そういう時しか予算がとれないからであろうと思っていた。
ところが先日CM音楽制作のプロダクションBISHOP MUSIC (http://www.bishop-music.com/)さんと話していて、意外にオリジナルを安く作れるものであるとわかった。
何年か前にデトロイトの教会のゴスペルのチームが来日した際に、牧師さんがビックカメラのテーマソングが気になって仕方がないと言っていて、実際店舗に行って何かを買っていた。実はあのテーマソングは日本人にとっては「たんたんたぬきの金時計…♪」であるけれども、元歌は19世紀中ごろの讃美歌『Shall We Gather at the River』で、それが牧師さんの脳裏にはあったのであろうと想像した。
ヨドバシカメラのテーマソングはアメリカの『リパブリック讃歌』の替え歌として知られている。要するによく知られているパブリックドメインを替え歌にした方が人々には親しみが湧くものとなることがあるということだ。
BISHOP MUSICさんは、オリジナル制作を手掛けると同時に、パブリックドメイン楽曲のアレンジ制作もされていて、作例がホームページにもあがっている。この方法だと、オリジナル曲を頼む際の不安がなく、また数多くのサンプルを聞きながら決めていくことができる。STEMファイルのサンプル音源が用意されているので、それを使う場合にはドラムのステム、ベースラインのステム、ハーモニーのステム、リードのステムといったような要素を分けて利用することができ、これらの部分入れ替えだけでオリジナリティを付加するリミックスという方法で制作すれば、かなり安く早く仕上げることができるという。
替え歌としてオリジナルのボーカルを入れるのも、楽器パートを追加するのも、音楽スタジオを借りることなく、デスクトップ上の操作とネットのやり取りでもできるからである。
フリー素材はネット上にたくさんあるものの、権利処理がしっかりされているのかとか、気に入るものを素人が探すのがたいへんなのが現実で、そういう意味では企画意図を伝えればサンプル候補を絞ってもらえる専門家が一緒に仕事をしてくれないと、クオリティの高い映像制作を効率的に行うことは難しいのだと感じた。