2017.12.29
お店のカラーを出す 始めるシリーズ③
デジタルサイネージをLED看板の延長上にとらえると、あまりインパクトのないものになてしまうことを以前に書いた。しかし逆にカラーの画面を自由に使えるからといって、派手で目立つ刺激的な表現に走ったらパチンコ屋の看板みたいになってしまうだろう。
せっかくデジタルサイネージに投資したのだからなるべく多くの人を振り向かせたい気持ちはわかるが、お店の本当の良さや雰囲気とは異なる印象を抱かれてしまうと、情報伝達メディアとしては逆効果な使い方になってしまう。むしろ多彩な表現ができるデジタルサイネージだからこそ、お店が顧客にアピールしたいことを明確にしておかなければ、統一感のないデザインを産んでしまうことにもなる。
これは新たに何かを作らなければならない大変な作業なのではなく、すでに看板やインテリアや印刷物などの表現に使われている要素を再整理すれば、とりあえずのデジタルサイネージの発注において意図を伝えることはできる。一般にはデザインの「テイスト」といわれるようなもので、いわゆる「~らしい、~ぽい」ものがベースになり、中華ならこんな感じ、ビジネスホテルならこんな感じ、などの雰囲気の上に、さらにそういった分野の中で、お店がどのあたりにポジショニングするのか(高級とか、カジュアルとか、お手頃とか)、を明確にするものである。
この「テイスト」に基づいて、配色(背景や基調色、使わない色なども)や使用するフォントなどを絞り込んでいけば、次々に新たなサイネージあるいは他のメディアを作っていっても、お店としての統一感を出すことができる。またデザイナさんや制作する人とのコミュニケーションも円滑になるし、素材の使いまわしもできるようになって、制作のコストもスピードも上げられるようになる。そのお店の独自キャラクターを登場させるというのもテイストを明確にするのに役立つ。
逆に新たなコンテンツを制作する度に、これらデザインに関することを考えて、あれこれ試行錯誤するのは大変な作業になるし、しかも結果としての作品もバラバラになりかねない。最初からデザインポリシーやテイストを決めてかかれないにしても、世の中の常識と過去にやってきたことをベースに、これからどのようなサービスやお店づくりを目指すのかを考えて、年という単位で徐々にデザイン性を高めていくような、ビジネスの成長に合わせたデジタルサイネージ活用を考えたらいかがか。