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2019.6.28

融合メディアとしてのサイネージ

かつては放送と通信では世界が異なって別々の法規で運用されていたタテワリであった。歯医者さん向けに衛星放送で番組を流していたことを書いたことがあるが、なんらか放送法の制約を受けたはずである。また電波を使うとなると用途の制約というのもいろいろ起こってくる。一つの電波にさまざまなサービスを載せることは困難だ。しかしインターネットがブロードバンドになったことでこれらメディアに関するタテワリ行政に風穴があいて、特に動画の利用局面はものすごく広がったといえる。
デジタルサイネージでも『番組』『チャンネル』など放送をイメージさせる使い方もあるが、単にインターネットで動画ファイルを送って、リピート再生しているだけである。それでも巷ではYouTuberさんたちはTV放送以上に見られている人たちがいる。動画のビジネスもまだまだ伸びるはずである。

 

しかしまだ放送や通信の法規は残っているので、既存メディアを流用・利用する際には不都合が多くある。よく待合室にはテレビがつけっぱなしにしてある。これをサイネージに置き換えたいことがある。とはいってもサイネージのコンテンツには限りがあるので、テレビも見れるようにしたいなと考えても、サイネージの画面内にTV映像を合成するわけにはいかない。TVの画面の中にPicture In Pictureとかワイプとしてサイネージコンテンツが割って入るのだったらいいのかもしれない(未確認)。台風・集中豪雨そのた自然災害の恐れがあるときには、サイネージにも情報を流したい気はするが、勝手に放送は使うことはできない。

モニターが1台だけなら画面(あるいはHDMIケーブル)を手動で切り替えればよいのだが、面数が多いとサーバー段階で内容を入れ替えなければならない。HTML表示ができるデジタルサイネージなら、ネット上の災害情報を表示させやすいが、必ずしもサイネージを前提に編集されているわけではないの、誰かが内容を見張っていなければならないのは同じだ。
今日のデジタルサイネージの配信サービスを行っているところは、たいてい通信社から提供される天気予報やニュースをオプション(月間何千円か、リコーは基本料に含まれる)で使えるようにしているので、こういったサービスが充実してくれば巷のサイネージもリッチになると思う。

 

また配信サービスも現在のような、『プレイリスト』→『番組表』『スケジュール表』というスタイルではなく、臨時の配信に対応した使い勝手の良いものが求められるようになるだろう。スーパーの内部でイベントをする場合があるが、その実況中継をデジタルサイネージに出すなどの用途が考えられる。

今までの紙のポスターの流用とか、販促ビデオの流用をしているようでは、インパクトのあるメディアにはなりえず、現場の活気や、まさに今を伝えるような工夫ができればよいなと考える。