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「制作アドバイス」カテゴリーの一覧を表示しています。

2018.5.4

最初の1台

もしデジタルサイネージがタダで導入できるとしたら、どう使いますか? というようなことを、街のお店に唐突に投げかけてみたら、どういう反応が得られるだろう? おそらく役に立つような使い方が思いつかないから、今は遠慮するところが多いだろう。その意味ではデジタルサイネージはLED文字の電光看板やコルトンフィルムの電飾看板よりもとっつき難いものではないだろうか?

逆に、そんな使い方の判らないものを売っているメーカーがいろいろ存在することの方が不思議だ。売る方はうまく使っている会社の事例を挙げて説明していると思うが、うまく使えている要因はなかなか伝わらないのではないか。だいたい商売がうまくいくところは、バランスよくいろんな能力を持っていて、またサイネージを導入するとなると、そこで新たに必要となる能力も調達することができる会社である。これはWebやモバイルの活用、店舗レイアウトの最適化、メニューの刷新など、何に於いてでもうまく人材再配分ができる管理能力の高い会社といえる。

 

とっかかりとしてのサイネージ

 

そういう完成した会社とは対極的に、現状のいろいろな課題を何とかしたいと思っているところが多くある。しかしそこには販促の担当できる人が居ないか、忙しすぎて今以上の事ができないでいる。デジタルサイネージ以外にも販促メディアはさまざまあるものの、費用面以外にも準備の手間暇で着手するのが難しいとしたら、デジタルサイネージの特徴は、簡単に情報発信ができること、簡単に変更・更新ができることがウリにできるはずだ。

冒頭のタダでのサイネージの設置は難しいとしても、もし準備の手間暇がかからない目途がつくなら、とりあえず安いサイネージを導入して、試行錯誤しながら他の販促メディアよりも経済的に販促力を高めていくことができるだろう。

手間暇をかけないとはいっても最低限の準備はしなければならない。それは商材に関するものと、ビジネスのタイミングに関するものである。つまりそれらの用意があれば、まずサイネージから初めて、他の販促メディアにも展開していきやすいだろう。

 

例えば弊社サイネージネットワークに導入の相談を持ちかけていただくなら、商材に関しては今使われているカタログ・チラシなど主要な印刷物、ロゴマーク・商品写真などのなるべく品質の高いもの、またタイミングに関しては、年間の販売計画やキャンペーン・イベントのサイクル、などがベースの資料としていただけるとスムースに進む。またこれからどんなことをしたいかを伺えれば、毎月のテーマを予測することができる。これは販促カレンダーを作るようなカンジである。

販促カレンダーとは、例えば朝日オリコミのサイトには月別のものがあり、前年データとして、天候、出来事、行事が記され、新聞折込広告の会社なので日別の1世帯平均枚数実績までも載っている。また、今年予定されている行事、記念日があり、販売の重点テーマとして、例えば6月の父の日ではどのような商品に動きがあるのかも載っていて、自分の会社の販促プランの参考にできるようになっている。 販促カレンダー6月分

こういったものは業界別などさまざまなものが作られているので、自分に合ったものを選んでいただいて、制作側と共有していくと話し合いも行いやすい。

 

まずは漕ぎ出すことから

 

サイネージネットワークのような制作会社では、商材の素材と販促テーマさえいただければ、その先のレイアウト・デザイン・ビジュアル化に進めるので、デジタルサイネージの最初の1台に漕ぎ出すことができます。はじめのうちはコンテンツ制作に費用のかからない、既存の写真やカタログイメージを使いまわして、従来の販促をサイネージでも再現するところから始めたとしても、そんなサイネージを身近なところに置いて日々接することによって、『もっと、こうしたい!』という新たな方向性がきっと出てきて、販促意欲が高まってくると思います。その想いを毎月少しづつ表現していけば、その積み重ねがオリジナルな販促活動になっていくでしょう。

サイネージネットワークでは、以上のような準備に負担がかからず廉価なデジタルサイネージのスターターキットのサービスを近いうちに始めようと計画しています。

 

2018.4.13

画面が大きいと何がいい?

この10年のデジタルサイネージを振り返っても、32型→40型→55型と大型化する傾向にある。さらにマルチでその3倍4倍も簡単に設置できるようになってきた。映像ソースも4k8kに向かうのだろうが、こちらはコンピュータでCG制作するならよいのだが、カメラから編集までのところはまだ手ごろな価格にはなっていないので、相当予算のつくところでないと導入はできていない。

そもそも画面を大きくするのは何のためだろうか? 迫力? 目立つから? これにはちゃんとした研究開発の積み重ねがあって、むやみに映像のスペックを上げてきたのではないことがわかる。論文としては、「高臨場感を生んだハイビジョン画面効果の研究」(https://dbnst.nii.ac.jp/pro/detail/241)に事の起こりが書かれているが、要約すると次のようになる。
HDTV(High Definition Television)は1960年代に次世代テレビの研究としてNHK放送技術研究所で始まり、1980年になると前述の研究によって、テレビの画面を横方向に大きくして広い視野で映像を見たとき、画面内の映像から受ける心理的な感覚・知覚量が大きくなって表示された映像空間に引っぱられるような効果、即ち臨場感効果が得られることが明らかになった。
これは誘導効果と呼ばれた。当時シネラマという3本のフィルムを横につないで撮影・映写するものがあって、崖っぷちに人が立つ映像を見ると身のすくむ思いがするような臨場感があった。

これを数値的にとらえる実験が当時アナログな方法で繰り返された。画面の左右両端を見込む視野角が20度を超えると次第に映像の空間に主観的な座標が誘導されるようになり、前述のように映像の空間に入ったような感覚、つまり臨場感の効果を心理物理量として捉えた。これをもとにHDTVはこの効果が顕著になる視野角30度を、望ましい観視条件とした。この理屈は今の8kにも引き継がれている。画面の縦横比は映画の縦横比も考慮して9:16 に国際統一された。

画面両端の視野角が30度での視距離は、画面の高さの3.3倍となり、画面高さを75cmとすると、2.5mになる。視力1.0の人の視覚の分解能は1分といわれていて、それを越える縦画素数としてHDTVの縦は1080にされた。横画素数は計算すると1920となる。

4k8kはHDTVの延長上に、さらに視野角の広い映像を提供するもので、それによって誘導効果が高まる、つまり臨場感がマシマシ・モリモリになることを狙っている。だから画面が大きく高解像になっても、遠くから眺めていたのではその効果は発揮できず、映画を前列で観賞するような視聴環境に変えなければならない。

 

これに関連して比較すれば、ビル壁面のLEDビジョンは確かに大画面だが、人は離れて見ているので 視野角は広くならない。つまり臨場感を出すことを狙っているものではない。単に街角で目立つことで目的は達成されるのだろう。

屋内のデジタルサイネージを大型ビジョンにするには設置の困難さを伴うというか、結構邪魔扱いされたりするものだが、裏腹に大画面を近くでみるということで臨場感・没入感をだすようなコンテンツには向いているということになる。その意味で屋外の大型ビジョンとはコンテンツ制作の考え方は異なる面がある。

2018.3.23

マルチディスプレイの悩み

デジタル映像出力の規格DisplayPortは、VGA→DVI→HDMIよりも高機能で、4k8kといった高解像度表示の利用を見据えたものとなっているが、逆に今までの用途では必ずしも必須とはいえなかったかもしれない。強いてメリットをあげると、ディスプレイを数珠つなぎにしてマルチディスプレイをやりやすくしているところだろうか。かつてマルチディスプレイをするは何らか専用のコントローラが必要であった。それが単なるパソコンである程度のことができるようになったからだ。

でも、どうもDisplayPortも進化しており、パソコンのハード側、OS側と、またディスプレイ側の対応が合わないと思い道理の動きはしないみたいで、よく見かけるのはJRの新車両にもあるような3台接続である。今のところはパソコン・OS・ディスプレイ全部新調するのならテストをして始められるが、すでに設置されているものを使いながらのマルチディプレイ化はリスクが高い。

 

折角特別な装置が不要になるはずの規格なのに活かせるところは限られるようにも思える。下の写真は東芝のディスプレイの例だが、ABDCの4台のディスプレイをDisplayPortで数珠つなぎにして、パソコンから4k映像を送って分割表示をさせている。パソコン側は何も細工はしていなくて、ABCD4台の1920 x 1080ディスプレイの側で、それぞれ表示するのを映像の『左上』『右上』『左下』『右下』と分担させているだけである。こうすると80~100インチに4kを出すものがいとも簡単に作れるのでナイスアイディアだと思うが、こんな設定がどのディスプレイにも可能かどうかは確かでない。

安全なつなぎ方としてはDisplayPortのHUBを使って4面にだすことだろう。ディスプレイの設置場所に普通のデスクトップパソコンを置くわけにもいかないから、弁当箱のようなパソコンを使って、信号はWiFiで受けて、マルチディスプレイをしているようだが、表示を面白くするために複雑なコントロールをするとなると、やはり何がしかの専用のアプリが必要になる。

 

またそうなるとDisplayPortでなくHDMIでも構わないはずだ。ただし実はHDMIの方が後発だから、DisplayPortを対象にマルチスクリーンのコントローラが先に開発されていたというのが現実なので、今マルチスクリーンを考えるなら素直にDisplayPortに向き合った方がいいのかもしれない。

 

DisplayPortとHDMIは似たようなもので違いが分かりにくいが、最初は出身地の問題だった。DisplayPortはPCの世界から起こり、グラフィックボードでの採用となった。伝送方法はHDDを4台並行に動かしているような4レーンの伝送であり、通信方法はパケット化方式なので、送受に高度な処理が必要になり、使うチップの原価も高い傾向にあった。

後発のHDMIはAV機器出身で3レーンの伝送で、比較すると単純な技術を使っていたので相性問題はほとんど起きないようだ。しかし両者とも4k8k時代に向かって新しいバーションが次々出てきていて流動的だし、今売られている機器類の組合わせの可否も悩ましいものとなる。しばらくはこんな悩みが続くと思うので、このブログでも設置のプロの業者のノウハウやアドバイスも紹介していきたいと思う。

2018.3.9

サイネージの図版  コンテンツシリーズ⑦

街に設置されている多くのデジタルサイネージは通行人に対して何らかのアピールをする目的なので、短時間のうちに人の目を止めなければならない。そのために何かと刺激的なグラフィックスを表示しがちだが、逆効果も考慮しなければならない。スピード感のある映像は、見る人をハッとさせるが、ずっと見入ってもらえるとは限らない。だからそれらは一瞬だけ使って、その後はちゃんと認識できるものを表示するなどの組み合わせを考える。

また必ずしもポスターのような写真の魅力に依存するよりも、モーションをつけるとか、イラスト化するなどの工夫のことも、コンテンツシリーズ⑥ で書いた。

ネットを見ていたら、アメリカンコミックのキャラクターと、それを元にした実写版映画のキャラクターを比較した写真があった。ストーリーをじっくり鑑賞するなら実写の魅力は十分に発揮できるのだろうけれども、一瞬のうちに人の姿を認識するには、イラストの方が手っ取り早いなあと、あらためて思った。

しかし、アナログなドローイングであるコミックをスキャンするとかデジカメで撮ったものは、例えば左上の女性ヒロインの顔を全画面に拡大すると、モザイク状のギザギザになってしまって、デジタルサイネージで縮小拡大移動のモーションを付けるようなわけにはいかない。

これは企業のロゴマークなどでも同じで、スキャンしたものを拡大するような加工をするようなことはせずに、Adobe Illustrator(や以前はFlash)などでベクター化したものを使うのが常識になっている。そうしないと画面が汚くなるからだ。今ならCADやCGからベクターグラフィックスを取りだして使うこともある。縮小拡大時にギザギザが出ないことでシャープさと力強さが出ることがベクターグラフィックスの強みである。

上のようなイラストは、写真や絵をスキャンしたものを下敷きにして、濃度の異なる領域をパスで囲むような作業をし、そこに着色するという、絵の作り直しの作業を経て出来上がっている。これは結構面倒な作業ではあるが、要するにアナログ描画も一旦ベクターグラフィックスにすれば、縮小拡大変形が自由になるので、ロゴやマークや製品写真、キャラクターなどで日常的に使いまわされている。

さらにベクター化した素材はアニメーションにも向いていて、以前主流だったFlashといわれたソフト(今はAdobe Animate 下のYouTube参照)以外でも、簡単なアニメなら多くのグラフィックソフトでも作成できるようになっている。

 

What is Adobe Animate CC (October 2017) Adobe Creative Cloud

 

こんな凝ったアニメはデジタルサイネージでは使わないにしても、一瞬スピード感のあるキャッチーな映像を出したければ、ベクター化したグラフィックスにモーションを付けるのが適している。縮小拡大や速度や尺をいろいろ変えてみることが自由にできるからだ。

2018.3.2

サイネージの可読性  コンテンツシリーズ⑥

YouTubeに文字がスクロールしているだけの映像を上げている人が居るが、いくら画面で見せるにしても、SNSのような文字を読ませるメディアを使った方が文章は読み易いだろう。本を読むことにも共通しているのだが、読み手が内容を理解しながら読み進む速度は一定ではないからだ。分かりにくいところは行ったり来たりしながら読むものなので、読み手が自分でスクロールのコントロールができる必要がある。デジタルサイネージも読み手がコントロールしながら文字を読むようにはなっていないので、文字の出し方というのは相当配慮しなければならない。

サイネージにおいてどれだけ文字を読ませられるかは、サイネージの設置されている場所による。病院の待合室のように座っていて、しかも読むに十分な時間がある場合は、パワーポイントのプレゼンテーションくらいの表示はできる。掲示板のように、わざわざそこに来てもらって立ち止まって読むものも同様である。実際にパワーポイントを静止画のスライドショーにして使っているサイネージも多い。

一方で路傍のように通行人を相手にした場合は、ありきたりのパワーポイント的な見出しと本文の組み合わせのスライドショーでは振り向いてもらうのは難しい。もっと訴求点を絞り込まなければならない。デジタルサイネージではいろんなビジュアル効果が使えるとはいうものの、見せたものを人の記憶に留めるには、やはり重要なポイントは文字化して、大脳に覚え込ませる必要がある。見た印象だけではその時だけ感情を揺さぶるに過ぎず、その感情はすぐに薄れていくように人のアタマはできているからだ。

 

つまり感情を揺さぶるビジュアル効果と、記憶に結びつく文字は上手に組合わせなければならない。しかも通行人のように数秒しか画面の前には居ない人を対象にするのだから、文字をいっぱい並べて読むのに1分かかるようでは、もう人は数十メートル先の視界を見ているようになってしまう。だから文字を読ませるといってもチラッとみてわかるような文字量とか表現方法(コピーライティングを含めて)にすることが、デジタルサイネージの可読性を高めるコツになる。

たとえば俳句程度の文字数にまとめるコピーライティングが重要だろう。これくらいなら静止画ではなく、動きのあるビジュアルとはある程度共存できるが、もっと文字数が多くなると画面の動きは邪魔になり、むしろ静止画の方が読み易い。しかしそうなると人の足は止めにくくなる。

 

文字の問題はいつも、動かした方が目をひきやすいということと、むやみに動かすと読みにくいということのバランスに悩むものだが、動きに耐えられる堅牢なコピーを心がける。人は文字列の最初から一文字づつ順番に読んでいくのではなく、言葉になった文字の固まりを認識する。だから次のような間違いでも、ぼやっと見ていると読めてしまったりする。

実際にこんな間違いは起こさないだろうが、これくらい当たり前のフレーズなら、バックに動画が動いていても、ゆっくり文字が動いてもわかってもらえる。わかりにくい言葉や難しい言葉などの文字表現は避けた方がよく、むしろ馴染んだ言葉を使う方がビジュアル表現との相性はよくなるだろう。

またデジタルサイネージは紙のパンフレットよりは看板に近いものなので、印刷物では行いがちな微細なフォント加工はかえって邪魔になる場合がある。そういう点ではテレビのテロップに近いものだろう。もし印刷物やWebとサイネージのコンテンツに連携をもたせて最初から設計できるならば、最初に印刷のデザインをするよりは、画面向けのデザインを先行させて、後で印刷用に凝った表現を加えて使う方が、サイネージとしては見やすいものになるのかもしれない。