2018.9.21
サイネージのニーズ変化を考える
タイムセールとは和製英語で、time sale と表記しても欧米人には伝わらないらしいが、毎日スーパーなどでは行われている販促である。正確に表現しようとすると時限セールということだろうか。どこか地域を指定すると、いつどこでどんなタイムセールをしているのかを調べるアプリが出るほどに盛んである。店舗だけでなくECでも行われている。
ECの場合は公開時間をあらかじめスケジューリングしておくだけのことだから準備は楽だろうが、スーパーのようなところだと、在庫のはけ方によって、また当日の天候などによって、時限セールに出すものや、売り方の調整を日ごとにしなければならない。扱うitemについては予定があって、POPなども事前にある程度は用意はできるのだろうが、デジタルサイネージにすると『あと何個!』というカウントダウンに近い表示まで可能かもしれないことを以前に書いた。
つまり競合店と時限セールの競争が起こった時に、デジタルサイネージのようなダイナミックな表現手法を持っているところが優位に立つかもしれない。たいていのオンライン型とかクラウド型サイネージはスケジューリング機能をもってはいるが、コンテンツを作ってアップロードするところとかはシステムにはなっていない場合が多い。もし時限セールの競争が起こりだしたら、ここをなんとかしたいという要望がいろいろでてきそうだ。
単純なところではスマホで撮影して即サイネージにアップしたいとか、それも売り場の動画をサイネージの画面に埋め込みたいとか、既存のCMSでは不可能なものが考えられる。今のところ例外的画面はHTMLで作って、フルHDのブラウザで表示するとすると、ほぼ何でもできる。それがCMS・配信システムに取り込んでサイネージコンテンツの一部として表示できないにしても、HMDI切替機などを使って、ソース映像の切り替えをしてしまえば手動/半手動でできる。
しかしこんなサイネージの実験をしてくれる業者がどこにいるのだろうか? この1年の間にサイネージネットワークにかなりあった問い合わせは、『コンテンツはあるのだが、更新作業をやってもらえないか』というものだった。だがコンテンツ制作については料金の目安もある程度一覧化できるものの、更新作業のような運営面については今のところ料金の尺度はない。昔から取引をしているお客さんであれば、実際に作業にかかった工数を理解してもらえて、料金の提示もできるのだが、ネットやメールのやり取りだけでは費用面の交渉が行いにくい。そこでコンテンツの加工も含めてどのくらいの程度と頻度があるなら、月間いくらという丸めた運用代行のサービスを考えていた。
おそらく運用代行が軌道に乗ったならば、その運用をさらに効率化とか迅速化するために、次なるシステム的な運用提案をすることになって、そこで前述のような今までにない実験も可能になるのではないかと思う。この場合は運用を請け負う側が、クライアントの仕事の性質をすでに知っているので、必要な品質・タイミングを実現できるだろう。もし過去に取引がなかったならば、クライアントのお仕事に対するヒヤリングから始めなければならない。もしろん今でも求められればそのようにできるのだが、更新作業の代行を問い合わせて来られる方は、そこまで大げさには考えておられないと思える。
デジタルサイネージの普及とともに、表示内容も表示方法も運用も多様化してきて、メーカーのソリューションの押し売りでは対応できない局面が増えていく。サイネージネットワークとしては、料金が幾らなら引き受ける/引き受けない、という杓子定規なビジネスではなく、クライアントとともに試行しながら、クライアントの独自性の発揮できる運用方法を開発していきたいと思う。