2018.8.10
サイネージとマーケティングの連動
これは難しいテーマで、そうしたいが、ほとんどの場合できていないのが現状であろう。デジタルサイネージを売る側も提案される側も雰囲気的によさそうだ、という域を出ないで話し合っている場合がある。デジタルサイネージに何を期待してよいのか、わからないところに提案しても、なかなか話がかみ合わない。
デジタルサイネージを始めてみませんか、とおすすめして、すぐ反応のあるところは、マーケティングについて何かしら考えておられる場合が多い。つまりマーケティングのあれやこれやの中で、サイネージの出番を予感している方だともいえる。
サイネージの導入に関してどこから話を始めたらよいのか。サイネージでこんなことができると提案しても、導入する側に新たなことをする準備が整っていないことが多いことを以前に書いた。導入する側に使う条件が整っているといえるのは、サイネージとかデジタル写真・ビデオに関するスキルの問題ではなく、今ぜひこういうことをしたい、という切迫した課題がある場合だろう。ここ10数年で発達したPOSや需要予測のシステムは、IT側が小売り側の課題にうまく対応できた例だ。
前回の『サイネージに何が起ころうとしているか?』のマネージ型というのは、目標設定を先に具体的に行って、それに到達するためにいろいろな工夫と管理をすること、その管理から得られたデータでやり方を最適化していくようなビジネスの仕方を指している。
例えば、今週中にある商品の在庫をゼロにしたい、新規顧客を1割増やしたい、午前の客足を1割増やしたい、とかというのが具体的な目標設定になる。そのために従来の販促に加えてサイネージも使わざるを得ない提案ができれば導入に結びつきやすい。こういう具体的利用局面をいくつか話し合って、それらを総合して月間なり年間でのサイネージの貢献度を試算すると、予算枠を用意してもらえ易くなると思うが、どうだろうか。
サイネージでの表現に於いても、最初はその店の強いところから、目玉となる釣り商品を作って徹底的にアピールする方が、今まで売ったこともないものをアピールするよりも成功率が高いだろう。つまり高評価されている自信商品を、絶対お得と思われる価格で出して人を振り向かせるような、ただでさえ集客効果が期待できるものをサイネージでさらに拡大させれば、サイネージの効用はわかりやすい。そもそも集客できない商品をサイネージに乗せても、売れた・売れないの分析はできない。
マーケティングをしているところは常勝の鉄板ネタがわかっていて、販促のシナリオが作れる。そのシナリオがあるならば『○○個限定』『完売御礼』などデジタルサイネージに何を仕込んでおけばよいのかも見いだせる。そういったシナリオを毎週、毎月ごとに作って、例えば何曜日の何時ごろにはタイムセールとかをやっている。
また毎月いつごろはイベントの日としているところもある。抽選会とか、ワゴンセールとか、何か普段と違うことをやってるなという印象を持ってもらえれば、サイネージやメディアでの予告広告によって期待を喚起することができるだろう。このイベントそのものにそれほど予算や手間はかけられないだろうから、それらの相談も含めてPOPからモバイル販促、サイネージまでも面倒見てくれるような外部のサポートが求められているように思える。