絵に力を! 始めるシリーズ④

そば屋やうどん屋の前にある看板で時々見かけるものに、どんぶりから湯気が立っている造形物がある。印刷物でも写真撮影の際にはおいしそうに見せるために様々な工夫をしているし、すでに撮影された写真に湯気を合成するための「湯気」だけの素材写真が売られていたりもする。動画にも後から湯気を追加する方法もある。湯気があったらそばの注文が何杯増えるのかという計算づくではなく、食べたい気分を演出するものである。

食べ物をおいしそうに撮影することを「シズル感を出す」といい、シズル(sizzel)とはステーキを焼くジュージューという音からきていて、肉そのものではなく「音」や脂の焼ける雰囲気という演出が重要なことをあらわしている。つまり撮影からコンテンツ制作に至る過程では、こういった演出テクニックを駆使していて、その結果が消費者が目にする実際の宣伝物の表現になっている。そもそも食品売場でも肉を新鮮に見せる専用の蛍光灯・LED灯などが使われているほどだ。

 

今はスマホのカメラでも綺麗な写真が撮れるようになって宣伝物にも使われているが、以前のカメラと同様に撮影用の照明器具などは必要になるし、撮影後の画像加工用に、前述の「湯気素材」とか、レタッチのソフトウェアが使われていて、気の利いた写真や映像に仕上げるのは、やはりプロの仕事になっている。

しかしカタログの表紙のような立派な印刷物を作るような特別な場合を除いては、すべての写真をプロのカメラマンに撮影してもらうわけにもいかない。なぜなら身近にあるデジタルサイネージというものは、日々のビジネスの助けとして、今売りたいものをフットワークを良く写真撮影して、使えるようにしたいからだ。そのために売場の裏側に小さな商品撮影ブースを置くところもある。

 

デジタルサイネージでも、紙のカタログであれば表紙に相当するスタート部分とかには、いつも固定のプロのシズル感あふれる写真・映像を使って、そこから先の個別商品の説明に関しては、スマホの写真が並んでいても違和感のないような全体のデザインをすれば、プロの絵作りと日常のフットワークを両立させることができる。

デジタルサイネージの運用の問題になるが、やはり売場に近いところの人がちょっとした撮影ができて、絵作りも理解するようになるのがスピーディーでスムースな展開になるだろう。幸いネット上にも写真の撮り方を簡単に解説しているサイトはいろいろあるから勉強できるし、実際にスマホ撮影でもしていると、そういうのを見るのが楽しくなってくると思う。

参考 : 写真撮影の勉強サイト

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