チャンネル型コンテンツ

デジタルサイネージの用途として、かなり増えてきていると思われるのが、社内のコミュニケーションや社内連絡用のものである。こういう目的の手段は社内WEBもメールも社内SNSもあるのだが、それでもコミュニケーションは徹底しないものらしく、壁に電子掲示板を設置するところがある。自社ビルの場合にエレベーター内にディスプレイをつければ、ほぼ強制的に目にするようになるといわれたものだが、そんなに普及しているとも思えない。むしろ今は職場にいろんな国の人が居あわせるので、マルチリンガルコミュニケーションの一環として見直されている。この分野は日本での就労に関する共通のコンテンツも考えられるので、個別企業に代わる『専用チャンネル』的な需要があるのではないかと思う。

 

また衛星のトランスポンダがレンタルできるようになった時代に、その1チャンネルを借りて、医院の待合室など向けに専用のTV放送を流しているところがあったが、そういう用途は今はインターネット上のストリーミングになっている。衛星の時代にはアンテナの設置などが必要だったのが、特別に何も用意しないでも『専用チャンネル』というサービスができるようになった。受益者が費用負担をするeラーニングの世界ではかなり定着していると思われるが、医院向けなどは広告などで費用を埋めなければならなくなり、新たな難しさがある。

 

一般に無償でコンテンツを提供しているデジタルサイネージにおいては、ゼロからコンテンツを制作する予算をとっていないところが多く、むしろすでに放送やDVDやeラーニングをしているコンテンツホルダーと組まなければサイネージに流すことはできない。サイネージにおける利用例としては、画面を分割した中に通信社から提供されるニュースや天気予報などを流す仕組みがよくあるのに、サイネージの設置者は通信社に支払いたくない意向の場合が多い。民放はタダだから・・・みたいな意識があるのかもしれない。通信社はスポンサーつきコンテンツを無料で提供できるのだろうか?

 

コンテンツホルダーを上流とし、サイネージ設置場所を下流とすると、テレビなどと同じで、下流からは設備関連の費用しかとれなくて、広告もなるべく上流に仕組みを作らざるを得ない。例えばバスの停留所に雨除けのひさしのついたシェルターを無料で設置している業者があるが、これはどこでも取り付けてもらえるものではなく、基本は広告クライアントの全予算をおさえているところがOOHに幾らか割り振って、その予算範囲で場所を選んで設置しているだけである。

 

サイネージ関連業者は、設置されている場所の『媒体特性』とでもいうべき、どんな人が、どんな時に、どの程度見て、どうリアクションするか、それは他の媒体に比べてどういう特徴があるかというデータとかシナリオを広告会社に提供できなければ、こういう企画には参画できない。

これは無理難題ではなく、従来から紙媒体やWEB、モバイルの制作にかかわってきた人たちがやるべき仕事ではないかと思う。

そのうえで『媒体特性』に合わせた共通のチャンネル型コンテンツが考えられるだろうし、それをスポンサーシップによって無料で提供するようなモデルも出てくるだろう。

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