デジタル広告においても発展途上国がアツい。ネット広告だけをみるとどの国のWEBもSNSも同じように広告がついているが、リアル広告においては日本は広告の売れ残りが多くなった。昔はビルを建てると屋上に看板スペースがとられることが多かったが、最近では看板のついたビルは少ない。記事『アナログからデジタルへ?』でも、アナログ広告がつかないような場所にデジタル広告も難しいことを書いた。
これが発展途上国だとあちこちに行列ができて、サイネージもやりがいがある。
サイネージの実証実験でも表示装置の横にカメラをとりつけて、顔認識をさせ、表示内容を切り換えようという試みがいくつかされたが、人がこなければ作動できないし、また来すぎてもうまくいかないだろう。何かに役立てるとすると、カメラ映像をもとに時間ごとの通行者数をカウントするくらいが関の山かと思う。
病院や交通機関の待ち会い場所も同じで、一見対象がターゲッティングできそうでいて、見てくれる総人数は限られている場合があり、『テレビをつけておけば十分』と考えるところが多い。たいていの人は待ち時間をスマホを見てつぶしているので、それよりも面白いデジタルサイネージのコンテンツを低予算で作るというのはハードルが高すぎる。
そのため、既存の広告ビジネスの延長にデジタルサイネージを考えられるのは、そもそも駅近くの雑踏とか、人いきれのある場所に限られてしまっている。昼間の住宅街に人影がまばらなように、マンションのエントランスであっても昼間は行き交う人は非常に限られる。そこに雑踏の街角と同じようなモデルはもってきにくいだろう。日常的に重要なお知らせがそうあるわけでもなく、自治体広報のようなものも振り向かれにくいだろう。
これといったアイディアとか先例があるわけではないが、マンションや学校など限られた人が出入りする場所では、コミュニティ性のあるコンテンツによって、ちょっと立ち寄ってみてみたいと思わせるような開発がありえるのではないかと思う。
例えば jimoty の『売ります・あげます』なら毎日変わるコンテンツを地域ごとに検索して表示できる。簡単なCMSツールを使って、同一マンションの住民がスマホでアップした情報が、スマホとサイネージの両方に出るような仕組みもできるだろう。
今はポスティングなどもやりにくくなっているマンションが多いので、試供品がピックアップできるコーナーなどを併設すると、若干の収入になるかもしれない。つまり何らかの『人いきれ』を創り出しつつ、サイネージの活用につなげるようなことも考えてみると面白い。