すでに街のあちらこちらに動画のデジタルサイネージは設置されているので、画面が動いているからというだけで人の視線をひきつけられるものではない。だからといって動画の広告でよくみかけるものに、画面がゆるやかに遷移しているのに、無意味にうるさいBGMをつけて、人の気を引こうとしてものがあって、だいたいこういうのは印象がよくない。
強引な呼び込みみたいなものだろうか。店頭やイベント会場でも大きな音を出していると隣近所から文句が来ることがある。そういうことを配慮してか、デジタルサイネージの設置場所によっては音を禁止していて、せっかくBGMを作っても無駄になる場合がある。むやみに必然性のないBGMは付けるべきではないだろう。
しかしずっと音が出っぱなしのBGMではなくて、ナレーションを適切にいれるくらいなら、それほど周囲に迷惑にならずに、人が「おやっ!」と思って振り向いてくれる可能性はある。これも程度問題なので、設置場所にふさわしい語り口にしなければならないだろうが…
サイネージの動画がスルーされがちな場所においても、人の語りかけが聞こえたなら、通りがかりの人に認識してもらいやすい。つまりサイネージの画面の遷移とシンクロさせるように音でメリハリをつけるということである。
また画面が変わる際に効果音のジングルをいくつか決めておいて、それを使いわけることが行われる。語りとジングルによるメリハリで盛り上げていくのは、「さあ正解は!ジャジャーン」みたいにクイズ番組などでよく見受ける光景だ。
BGMの話に戻って、音楽をバックに流す効果というのは、サイネージの流れを分かりやすくするとか、リズム感をもたせることで、伝えたい内容をより高度に演出することが目的のはずである。
これは音楽の構成にそった映像つくりをすれば、両者がシンクロできるともいえる。つまり、前奏-16小節(例えばの話し)-後奏、のようなことを意識して、絵コンテも4小節x4というように設定したとして、絵コンテの展開を例えば、「えっ!」「ほんと?」「まさか」「行かねば!」、という4段階にわけて、音楽に乗せて映像も切り替えていき、映像のスレッドの尺も4小節づつの繰り返しにすれば、リズム感を産みだせるとともに、映像に対してナレーションとか掛け声やジングルもシンクロさせやすくなる。
そして、ナレーションの重要部分や掛け声のところは、映像の中にも文字化して出しておけば、たとえ音が出せない場所でのデジタルサイネージでも、無理のない流れでリズム感をもった映像にしやすい。
無音でも通用するが、音がだせたらもっと効果的、という作り方がよいだろう。