2017.12.22
サイネージはコストがかかる? 始めるシリーズ②
デジタルサイネージなんだから、単なる電子看板として同じものを年中掲示するのは能が無く、ビジネスの移り変わりに応じて内容を変化させたい、という話には納得できても、実際にその都度デジタルサイネージの準備をするには手間がかかりそうで、とてもそんな余裕はない、というお話をよく伺う。
サイネージでもWebでもモバイルでも、それで何をどう訴求するかをいろいろ考えて、そのための準備として、写真や映像の撮影や、コピーの文言を考えることや、パソコンを使っての実際の制作作業には、スキルも道具も時間もかかってしまう。だからいくらデジタルサイネージパネルのコストが安くなったからといっても、お店などでは運用のコストが負担できない。
そこで商品の卸とともに、商品棚に置けるような7インチくらいのサイネージが配らることもある。これならACアダプタを挿す電源さえあれば誰でも使えるし、内容も商品の入れ替えの際にSDカードなどで差し換えていけば、お店の負担にはならない。これはかなり浸透した方法だが、商品をよく理解してもらえるという点では優れていても、お店全体から見ると局部的な販促に過ぎない。
お店が自分でデジタルサイネージを運用している場合には、商品仕入れと共に商品情報も提供してもらって、その動画や写真を店のサイネージに利用すれば、制作コストはあまりかからずに済む。このように商品カタログやWebの商品情報をデジタルサイネージ用に流用できればよいので、印刷のカタログやチラシ、Web・モバイルその他何でも広告や販促に使うものは、サイネージへの流用を考えてためておくことが第一歩だろう。
幸い今日では何でもデジタルファイルになっているので、パソコンで管理ができる。ただし印刷物やWebをよその会社に作ってもらっている場合に、再利用の権利が相手側にあって、元の目的以外に使う場合には再度料金が発生するような契約が多い。プロのカメラマンに写真を撮ってもらった場合もそうなることがある。つまり再利用がうまくできるかどうかというのは契約の問題になる。だから印刷・Webその他いろいろなメディアを場当たり的に発注していると、再利用はやりにくい。
むしろどんなメディアの制作を発注する際にも、そのイメージをWeb/モバイル/デジタルサイネージを含め包括的に再利用できるような契約条項を用意しておくのがよい。これは無理な注文とか摩擦の種とかではなく、今では紙のカタログでも複合機でPDFにしてWebからダウンロードできたり、メール添付して送れるような時代なのだから、制作されたイメージがインターネットを介した利用ができることの了解をとりつけるというレベルでいいだろう。
これを了解してもらえるなら、印刷物を作成する際には、イメージファイルやPDFの支給もお願いすれば、いくらか料金がかかったとしても、ゼロからサイネージを作ろうとするよりもずっと楽になる。