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「導入事例」カテゴリーの一覧を表示しています。

2018.8.24

サイネージの年間計画化

ホームページ経由で見積もり依頼をいただく場合というのは、依頼先の事情としていつまでに何をしなければならないという逼迫したものがあって、どんな素材があって、どんな尺で、など外見上の仕様に合わせて提出する場合が多い。その値段が相場の範囲なら、具体的に営業がお会いして打ち合わせをすることになる。ある意味では、依頼先からすると、とんでもない見積もりが出ないことを確認するために、一般的な仕様でいくらになりそうか聞いているのだろうと思う。

今日では、『動画制作 3万円から・・』のような広告は山ほどあり、またそういう仕事をしているところからの売り込みもよくある。しかし実際に新規に動画を作るとなると、何度も打ち合わせのやりとりが起こって、むしろ制作作業時間よりもそちらの方が長くなるもので、単純に何万円でどの程度ができるとは言い難い。おそらく『3万円から』のような場合はすでにテンプレートがあって、ネームや写真を差し替えるとか、トリミングやマージやフォーマット変換程度の編集なのかなと考えてしまう。

 

ちょうど昔からあったチラシの図案集のようなものが、パソコンの場合にPOP制作になり、それが画面用に電子POP化した世界として、10年前くらいにデジタルサイネージの黎明期があったように思う。デジタルサイネージを導入すると何百という販促デザイン素材がついてくるというのもあった。しかしそういうのは紙のポスターや印刷物に戻っていったものもある。つまり『3万円』でも『2万円』でもデザインを安くしていきたければ、やりようがあるものの、本当に顧客が求めているのは、ただ安くすることではないはずだ。

デジタルサイネージの営業が依頼先にお会いすれば、依頼先のビジネスがどういうものであるのかが分かってくる。必要なものがスライドショーに毛が生えただけのようなものなら『3万円』もかからないだろう。撮影からやりなおした方がよい場合もある。いずれにせよどんな目的で使うのかが見えてくれば、価格的に適正な提案というのは可能になるが、突然のホームページからの依頼では客先のビジネスがみえないので、単純見積り以上の提案は行いにくい。

例えば、今必要なものはスポットで制作するとしても、それと似たものが年に何回かあるとか、来年もほぼ同様なものが必要になるのならば、かなりテンプレート化・規格化した設計にしておいて、後から文字や写真の差し替えを簡単にできるように作った方がよい。今スポット制作費用ではそのような段取りはできないとしても、需要が見込めるならば無理してでも最初に作ってしまうことはある。当然価格はスポットのものであっても、リピートがあったら割が合うようにはできる。

 

印刷物発注の場合は、長年どこかの印刷会社と付き合っていて、過去の制作物が印刷会社には保管してあって、毎年それを更新するようなやり方が多いが、デジタルコンテンツの場合はそのような習慣はあまりない。こういう習慣があると、自然にPDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)の管理サイクルを回すことになって、徐々に改善していくマネージ型になりやすいと思う。過去10年のデジタルサイネージが息切れしていったのは、PDCAを回すようなやり方にできなかったからだろうと反省している。

小売業では各業種ごとに販促カレンダーをお持ちであるので、それらと連動して、販促の一環としてデジタルサイネージの計画もするようになっていれば、限られた年間予算枠をもっとも生かしたコンテンツ制作ができるだろう。費用の掛かるクリエイティブな部分はその都度制作するのではなく年間単位で使いまわして、年内の各イベントはいくつかのテンプレートに分類して各回の制作費をおさえ、さらにタイムセールなどは現場で写真を撮って載せることで出費をなくし、しかも週単位で新鮮な情報が提供できるように、トータルな提案がさせてもらえればお互いにハッピーなのだが。

 

 

 

 

2018.7.27

サイネージネットワーク もうすぐ2年目を終えます

この1年間つまり2年目に経験してきたことを振り返って見た。

a. 大型案件の見積もりに参加できるが落札は難しい。
b. 店舗は意外に決断が遅い。
c. 学校は年度単位で進行が遅いが、着実に進展している。
d. 自治体は関係構築が先。関連した仕事とセットになる。

大型案件については、提案はうまくいっても、その後の状況変化があり、再提案するにも情報が少なくツメの難しさがあった。
ある意味ではデジタルサイネージの方法論は多様化しているともいえ、何とどう比較されているのかわかりにくくなりつつある。しかし入札の慣例としてハードもソフトもコンテンツも全部セットでというのはキツい。我々のようなコンテンツ制作の立場ではハード・システムは仕入れて提供するので、メーカー直の納入にはかなわない。もっとハード・システムのベンダーと密接な関係を作らなければならないのだろう。

店舗でもデジタルサイネージの認知度は高くなっているが、いろいろな意味で即サイネージをビジネスに使うには、何かと準備不足である場合が多い。素材となる写真やデザインや動画があまり用意されていない。担当者が不在か忙しすぎて手が回らないので、提案に賛同してもらっても動きにくい。マーケティングの経験も少なく、他メディアとの連携もなく、サイネージ対して希望だけがあるのみという状態では、なかなか一歩が踏み出しにくい。まさに電子看板の域を出ていない。ビジネスの原点に立ち返って何をしたいのかを煮詰めてもらうと、こちらからの提案もやり易いのだが。あるいは魅力的なパッケージがあれば取り組みやすいかもしれない。

学校のようなコミュニケーション需要の高いところは、掲示物も印刷配布もWebもと何かと忙しくなるし、メディアが増えれば煩雑になる。しかしこれで十分という情報伝達手段は無く、むしろ何をしても見てもらえていないというフラストレーションをかかえておられる。デジタルサイネージの利用も考えてもらえるのだが、またメディアが増えてしまったということにならないように、むしろ他メディアと連携を強めて、トータルとしてコミュニケーションが向上したといってもらえるような提案をしなければならないだろう。

地方自治体もコミュニケーション需要が高く、また地元のビジネスと結びついたいろいろな展開をしている。少ない人数で多様なイベントやサービスをするために、地元業者の手を多く借りていて、ボランティアされている方も多くいる。そんな中に何かを売り込みに行っても相手にされない。逆に地域活性化のお手伝いという姿勢で、経費的な負担もかけないような提案をすると道が開けるようだ。こういう状態ではサイネージ部分の売り上げは微々たるものかもしれないが、関係構築ができると関連した仕事につながってくる。

 

あと、広告モデルのデジタルサイネージが一つのトレンドである。元々サイネージといえば大型商業施設・駅・車中などの新築やリフォームの際に、設備の一環としてサイネージを導入してイメージアップを図るものがみられたが、これらのコンテンツの多くはそれまでTVコマーシャルやポスターでおなじみの広告だった。広告主は一般視聴者を対象にしたものだったが、今は病院や学校などそれぞれの専門性に特化したコンテンツを用意して、それに広告も載せるような方向にある。この場合は広告媒体を置かせてもらっているので、設置は無料あるいは設置代を払ってサイネージ一式を病院や学校に持ち込んでいる。こういう広告代理店は設置場所のための新たなコンテンツなどは提供していないようなので、純粋にコンテンツ制作だけのビジネスがあるかもしれない。これは次年度の課題になるだろう。

この項、続く。

2018.4.27

見えない用途

デジタルサイネージを設置する目的はお客さまに何らかメッセージを伝えるためであることが多いが、その他に社内の情報共有など外部の人からは見えない用途もかなりある。情報共有に関しては組織的にグループウェアが使われていたり、メールで一斉同報されるとか、ネットでのアプリというものなど、いろいろな手段が使われているにもかかわらず、あまり見られていないという現実もあり、これで十分というものは無い。それで昔ながらの掲示板というのも捨てられないでいる。

社内掲示板を撤廃するために投資してデジタルサイネージを導入してもらえるとは考えにくいのだが、複数個所に同じ内容を掲示したい場合には電子ディスプレイは有用だろう。ただコンテンツに手間暇をかけることはできないので、情報共有アプリの画面を大きくして映し出すとか、プリントのPDFを表示させるようなことになろう。

掲示板に載せる情報は種々雑多なので、だれがどうコントロールするかは難しい問題だ。PCとかカメラ(含む監視カメラ)が4種程度なら、HDMI切替機のようなものでローテーションさせることはできる。

業務上欠くべからざる事柄のためには、朝礼とか、各部署での朝のミーティングなども行われている。これをサイネージのボードの前に集まって行って、やはりPCとかWebとかの情報を見ながらフェーストゥフェースで情報共有するためにも便利である。この場合もミーティングで使う情報を事前にどこにどうセッティングしておくかが課題になる。

デジタルサイネージによる情報共有は店舗などで、個人の机はなくてパソコンも見られない職場環境では、非常に有益な方法になる。開店前や閉店後のミーティングとして、あるいはアルバイトやパートに仕事を覚えてもらうためのマニュアルとして使われることがある。器具の使い方や、閉店後にどのように掃除し片づけるのかといった事柄をあらかじめビデオ化しておいて、毎回繰り返して見ることが出来るようにすれば、言葉の通じにくいアルバイト君にも伝わりやすいだろう。

サイネージを多目的に使う場合に、すべてコンテンツ制作が必要になると、頭を抱えることが多くなって、実際には取り組めなくなる公算が大きい。しかしコンテンツ制作しなくても、前述のようにPCやWebなどの異なるソースの切り替えをするだけなら、千~何千円のHDMIセレクターで済んでしまうかもしれない。

この考え方を応用すれば、午前午後の休憩時間のリフレッシュとしてテレビ体操を放映するとかもできる。学校で教室の利用予定の表示のついでに学内ニュースを伝えるのなども、システム化されたスケジュール管理をPCから表示する出力とは全く別系列にニュースを作ってよいので、取り組みがやり易い。

さらに商業的なサイネージに於いても、通行人が近くに居ない時にはロゴなどあまり変化のない看板的な表示をしておいて、人が近付いてきたら切替えてもっと動きのあるものを表示させて、「おやっ!」と思わせるようなこともできる。これは焦電センサーとか人感センサーというもので可能になるのだが、こういった小物の使い方はまた別の機会に紹介したい。

2018.3.30

設置・工事のことも忘れずに

30年近く前に、4階建て2棟の職場の各フロアにイーサネットのケーブルを敷設することになって、工事立会いのために日曜出勤をしたことがあった。すると下の写真のような感じでトラックがイエローケーブルのドラムを積んでやってきて、工事の人が各床から天井裏にドリルで穴を空け、天井には点検口の穴を空け、各フロアをぐるぐる廻って、一筆書きのようにイエローケーブルを設置していった。ケーブルのところどころには機器を接続するための装置をつけて、いわば電気のコンセントのようなものをつくるわけだが、イエローケーブルは床をブチ抜いて下から生えてくる場所もあれば、天井から下がってくるところもあった。それらをカバーする工事も行われた。

今日の有線LANというのは、電話のケーブル工事に間借りするつもりで線材や接続口が考えられているので、イエローケーブルのような大げさな工事は不要になったが、30年近く前は線を敷くだけの工事に200万円かかってしまった。有線LANになってからも何度も工事というのは必要になって、もう電話の配管スペースに通信線が入らなくなってしまい、屋外に配管ダクトのようなものをつけなければならなくなったとか、HUBの増設に次ぐ増設やフロア配置の変更などなんだかんだで、2~3年に1度は通信工事も考えないと、線がぐちゃぐちゃな環境になったものだ。今では無線LANが主流になったので、配線はだいぶ人目にはつきにくくなった。

 

無線LANとはいっても機器には電源が必要なので、今度は各フロアの4隅にアクセスポイント置きたかったので電気のコンセントが必要になった。今日では監視カメラとか見えない所でも電源工事が必要なことが増えている。デジタルサイネージも御多分に漏れず、機器以外に電源線とか無線LANのアクセスポイントの電源などが必要になる。もし大きなディスプレイパネルを何十台も使う場合には、電源の契約から見直さなければならないかもしれない。

 

冒頭のイエローケーブルの話も、インターネットの話ばかりしている時には工事のことなど頭になかったのが、稟議が通ってから結構大変なことになりそうだということで慌てた記憶があり、何とか予算に納まるような業者を探し回った。また日曜出勤して工事に立ち会ったこともよい勉強になった。イエローケーブルというのは簡単には曲がらなくて、当初考えていた場所に接続口が設置できないということもあった。工事が伴うことに関しては事前に専門家に見てもらってからプランを作った方がよいことがわかり、後の有線LAN・無線LAN・電気コンセントの付け替えなどがスムースに進んだ。

 

デジタルサイネージを1台だけ導入するのなら大型テレビを購入するのとさほど変わらないが、人の集まるところや展示をする場所を対象とするならば、まずどこらあたりに何台ほどという配置の『密度』を考えなければならないし、それが一度に設置できるのか、段階的に増やしていくのかというプランも必要かもしれない。いずれにせよ、ある程度先のことも考えておいた方が工事が2度手間にならなくて済むことにはなりそうだ。
またインテリアとか室内の見栄えという点からもどういう工事をするかは変わってくる。デジタルサイネージのコンテンツとは別に、設置の見栄えをクライアントがどう考えているかも知っておく必要がある。

 

サイネージネットワークでは、設置と付随する工事に関するお仕事は専門業者のキラカスタムサポート株式会社(URL http://kirasapo.jp/)にお願いして、一緒に打ち合わせに行ってもらったり、お互いに相談して提案をすることを行っている。またキラカスタムサポートさんは365日24時間全国どこでも対応ができるネットワークをもっておられるので、北海道から沖縄まで対応するサイネージネットワークにとっても、運用開始後の変更やメンテナンス面でも安心できるパートナーさんである。
むしろサイネージネットワークはコンテンツ制作会社のグループなので、設置に関しては相談相手になっていただいているといった方がいいかもしれない。いろいろな事例をお持ちなので、それらも追って紹介していこうと思うが、単なる工事屋さんではなく、プロジェクト全体に関して、それを良い方向にもっていくように、事前に調査やヒヤリングの段階から協力してもらえ、発注者に安心してもらえるような仕事をしておられる。

仕事の規模では、展示施設にタッチモニタ30台を置いて、展示に関する写真・画像・インタビュー映像を流すような仕事もされた。後のメンテナンスのために、地元の業者によって設置・電気工事の対応してもらうとか、サーバー経由でのコンテンツの一括管理・運用とか、機器販売よりも実稼働後のことに配慮した方法で、うまく仕事をされておられる。

実際にはどんなプロジェクトも予算の範囲でどのように配分するかで悩むと思うが、デジタルサイネージに関しては最初にハードウェアを決めて残りの予算でコンテンツや工事に割り当てることが多かった。しかしハードウェアの価格が下がってきて、またサポート体制のある主要メーカー間の差がなくなってくると、むしろハードウェアの発注先は最後に決めて、流動的なコンテンツと設置から考え始める方が長い目で見るとスムースに行くのではないかと思う。いいかえると、どんな目的で、どんな内容を、どのように表示するか、などであり、これらに迷った時にはぜひご相談ください。

2018.3.20

トレンドセミナー盛況裏に終了

私たちの扱う デジタルメディア やコミュニケーション・ツールの世界にはどのような変化が起ころうとしているかを探り、ビジネスチャンスを見つけるためのセミナーを飯田橋東京しごとセンター講堂で3月19日に開催しました(後援:東京グラフィックコミュニケーション工業組合)。

第1部は『Webに代わるAIを使った自動応答システム』と題してソフトバンク(株)山田泰三氏から、IBMのWatson がコミュニケーションツールとしてすでに幅広く活用されている話と、(株)キャメルの太田伸吾氏から音声/Line/webいずれからでも使え、またマルチリンガル対応のAIチャットボットediaについて、Webなどと比較してログが宝の山となるので、サービスが進化していく様子をお聞きしました。

 

(株)キャメルのedia

人々が常に強力な情報端末を持ち歩いていて、最新情報が簡単に手に入ることが当たり前となったために、会社の情報システムも広告やマーケティングの手法も、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と呼ばれる変革のさなかにあることが感じ取れました。この時代に則さない古いメディアやユーザーインターフェースは衰退し、代わってネットワークやAIを駆使した方法に期待が集まっています。

 

第2部では、サイネージネットワークの3社、熊本の(株)アートプロセス 本田和敬氏、香川の(株)ミヤプロ 宮嵜佳昭氏、東京の(株)二葉企画 小林右季氏から、この1年の事業報告として成功も失敗も忌憚のないお話が聞けました。その後のパネルディスカッションでは、まだ利用モデルが確立していないデジタルサイネージなので、単純な新規開拓はなかなか難しく、ソリューション提案や総合プロデュースによって、顧客/パートナーとともに近未来を切り拓く努力がされていることを感じました。